硝酸カリウム

 硝酸カリウムとは、カリウムの硝酸塩のこと。常温では無色の結晶。硝石として天然にも産出されるが、多くは硝酸、硝酸アンモニウムなどを原料として工業的に製造される。

 ナトリウムの硝酸塩である硝酸ナトリウムと性質上似通った部分もある(水によく溶け、温度の上昇に伴い溶解度も増すなど)が、異なる面もある(硝酸ナトリウムは吸湿性があるのに対し、硝酸カリウムはない)。その他に、エタノールにわずかに溶けるが、エーテルには溶けない性質をもつ。

 硝酸カリウムには、カリウムイオンを形成し、刺激の伝達を防ぐ働きがあることから、知覚過敏予防の歯磨き粉に広く配合されている。

 それ以外では、黒色火薬、マッチ、花火、肥料、ガラス、うわぐすりなどの製造原料となったり、医薬品や肉類の肉食固定剤にも利用されている。

 ちなみに知覚過敏予防の歯磨き粉には、硝酸カリウムの他に乳酸アルミニウムが一緒に配合される場合もある。硝酸カリウムが歯髄神経の周りにイオンの膜を形成し、刺激の伝達を防ぐのに対し、乳酸アルミニウムには、歯の象牙質にある細い管(象牙細管)の入り口を防ぐ作用がある。

 この両者はあくまで知覚過敏からくる歯の痛みに効果があるものなので、虫歯に伴う歯の痛みには効果がない。(使用画像はイメージです)